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模写





2016年制作 size 530x455 F10号 『Little Girl』 ブーグロー


 



制作過程 




制作ビデオ


【模写のまとめ】

 実際のブグローがどう描いていたかは分かりません。
しかし、どの様な工程をたどり、どう絵具と溶剤を扱って描いて行けば
視覚的に比べて、ある程度近付けることは可能と思われます。

肌の柔らかさ透明感、瞳の生命感と潤いの表現、髪の毛の柔らかさ等の
描写が描き涯のある所です。
これらの表現をいかに近付けるかにポイントを置いて模写をしました。

技術的には、
シルバーホワイト、ブラック、バーントシエナを混ぜ下地を塗ります。
茶色を混ぜて、温かみのある灰色を作ります。輪郭は転写します。
下絵の段階で明暗の立体感が出る様に描いておきます。
立体表現が西洋絵画の根幹となる所で、日本画と大きく異なる概念です。
 (ルネサンス以降の古典絵画と言われる表現の場合)
バーントシエナ(またはローアンバー)にメディウムを混ぜ、クリーム状の
硬さで陰影を描きます。
テレピン等で薄目ないのがポイントです。鉛筆デッサンで陰影を付ける感じです。

絵具は、
メディウムを一色ごとにクリーム状の硬さになるぐらいに混ぜておきます。
これは、ぼかしがし易く、均等にメディウムを混ぜておけるのが利点です。
それと、メディウム1に対しテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

着色は、
背景から塗った方が、全体の調子をつかみ易いです。
基本は陰から塗って、光の部分との間をぼかして立体的に描写して行きます。
この方が全体の調子を取りながら、陰からのグラデーションが描き易いです。

肌の表現は、
衣装の白と見比べて分かるように、シルバーホワイトをベースに塗っていますが
密度が違います。
溶剤を使用して絵具の硬さを調整するのがポイントです。
基本的に、陰は薄目に塗って、強く光の当たる部分は厚く塗りますが、
中間部分は、ぼかしと溶剤の調整で肌の柔らかさ透明感を表現します。
これが難しく、失敗するとゴテゴテに塗っただけの絵になってしまいます。

目の表現は、
肌の表現と同じように、白目の部分で溶剤の調整が重要です。
瞳と白目の境目、白目と目の輪郭の境目のぼかし加減も重要で、
境目がハッキリしてしまうと生命観がでず、人形っぽくなってしまいます。
以上の描写が上手くいけば、仕上げのハイライトを再び入れた時に、
生命感と潤い感が表現出来ます。

髪の毛も、
溶剤の調整がポイントです。
シルバーホワイト、イエローオーカー、ローアンバーで描いています。
髪は薄塗で描写するので、下絵のバーントシエナの温かみが
良い具合にきいてきます。

描画に関して、
どの部分でも基本、二層目以降は溶剤で濡らしてから描きます。
塗った時の色合いになり、ぼかし易いからです。
ハッキリとは分けられませんが、二層から五層ぐらい重ねています。
10作品程、模写をしていますが、プリマ(白と色を混ぜる)で描いています。
溶剤で硬さ、粘度を調整しているので、グラッシの様に見える部分が
あるようですが、意識としてはプリマで描いている感覚です。
または、ベラトゥーラ(不透明絵具でグラッシ)でしょうか。
灰色のグリザイユはしていません。
他の模写で、シルバーホワイトを固練りで固有色を混ぜて、
グラッシを掛けるのが部分的にある位です。

【メディウム】
 ※全ての絵具にあずき程の大きさに対し1〜4滴のメディウムを混ぜます。
  クリーム状になるぐらいに調整します。

 対比
  1 ベェネチアンテレピンバルサム(クサカベ)
  2 ウォールナットオイル(マイメリ)
  1 フレミッシュシッカチフメディウム フラマン(ルフラン)
  1 ブラックオイル(自家製)



【No.1 Reproduction 下絵の描画】

@下地は、シルバーホワイトにブラックとバーントシエナを混ぜます。
 画面に温かみを出す為、茶色系を入れています。

A画像を用意し、カーボン紙で輪郭を転写します。

Bバーントシエナにメディウムを混ぜクリーム状の硬さにします。
 (肌と服はローアンバーにしています)

C描画の順序は、広い面積から塗っていくと全体の調子が取りやすいので、
 背景を先に塗ります。

D陰影の描写は、陰になる部分から塗るとグラデーションを調整し易いです。




【No.2 Reproduction 衣装の描画】

@陰から塗って行きます。

A光が当たる部分は、シルバーホワイトを厚塗りで塗ります。

B陰は、ローアンバーとウルトラマリンブルーとイエローオーカーを使っています。




【No.3 Reproduction 髪の描画】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A「@」の溶剤で絵具を溶いて調整し、陰から塗ります。

Bシルバーホワイト、ローアンバー、イエローオーカーを使っています。




【No.4 Reproduction 肌の描画】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A「@」の溶剤で絵具を溶いて調整し、陰から塗ります。

B陰は溶剤で絵具を溶いて調整し、薄目に塗ります。

C中間の光の肌は、「@」の溶剤を混ぜ、溶けたバターぐらいの滑らかさに
 調整して塗ります。

D強く光が当たる肌は、厚めに塗り、「@」の溶剤は少量で調整します。

Eシルバーホワイトを基に、ローアンバー、バーミリオン、
 イエローオーカーを混ぜて、硬さと明るさと色合いを調整して塗ります。

Fポイントは、「@」の溶剤の調整です。硬い状態で厚く塗れば、
 肌の透明感は出ません。
 「C」で塗る中間の光の加減を柔らかく調整する事です。




【No.5 Reproduction 腕から手の描画】

※腕と手の描写は、「No.5」の肌の描画とほぼ同じです。




【No.6 Reproduction 顔の描画@】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A「@」の溶剤で絵具を溶いて調整し、陰から塗ります。

B陰は溶剤で絵具を溶いて調整し、薄目に塗ります。

C中間の光の肌は、「@」の溶剤を混ぜ、溶けたバターぐらいの滑らかさに
 調整して塗ります。

D強く光が当たる肌は、厚めに塗り、「@」の溶剤は少量で調整します。

Eシルバーホワイトを基に、ローアンバー、バーミリオン、
 イエローオーカーを混ぜて、硬さと明るさと色合いを調整して塗ります。

Fポイントは、「@」の溶剤の調整です。硬い状態で厚く塗れば、
 肌の透明感は出ません。
 「C」で塗る中間の光の加減を柔らかく調整する事です。




【No.7 Reproduction 目の描画@】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A二層目以降は「@」の溶剤を塗る場所全体に塗って、濡らした状態で描画します。

B「@」の溶剤で絵具を溶いて調整し、陰から塗ります。

Cシルバーホワイトを基に、ローアンバー、ウルトラマリンブルーを混ぜて、
 硬さと明るさと色合いを調整して塗ります。

D目は球体なので、立体感が出るように陰から明るい部分のグラデーションに
 注意します。

E瞳と白目の境目をハッキリとさせずにぼかします。

F白目はブルーを混ぜ、溶剤で硬さを調節するのがポイントです。




【No.8 Reproduction 目の描画A】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A二層目以降は「@」の溶剤を塗る場所全体に塗って、濡らした状態で描画します。

B「@」の溶剤で絵具を溶いて調整し、陰から塗ります。

Cシルバーホワイトを基に、ローアンバー、ウルトラマリンブルーを混ぜて、
 硬さと明るさと色合いを調整して塗ります。

D目は球体なので、立体感が出るように陰から明るい部分のグラデーションに
 注意します。

E瞳と白目の境目をハッキリとさせずにぼかします。

F白目はブルーを混ぜ、溶剤で硬さを調節するのがポイントです。




【No.9 Reproduction 顔の描画A】

@メディウム1にテレピン3〜4倍で薄目た溶剤を使います。

A二層目以降は「@」の溶剤を塗る場所全体に塗って、濡らした状態で描画します。

B仕上げ層では、ハイライトの調整、頬の膨らみの調整をしています。

Cある程度の筆後が残る様に調整します。


 

 

 

 

 

 








2016年制作

size 530x455

F10号

material  Canvas

『Little Girl』



ブーグロー





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